• 3月22日 早朝

    手を動かしさえすれば、それなりに絵は描けてはいくが、なにかしら適当でもあり、大雑把でもある。
    細かいことは気にならなくなり、職人的な緻密さは無くなっていっている。

    果たして、それでいいのだろうか、と自問するけれども、それでいいのだ。
    画面に大切なことが出てさえすれば良いのだ、と思うようになっている。

    生活の中で自然と主題は決定され、何を描くと決めることなく自動筆記のように作画は進んでいく。

    絵の傍にずっと居さえすれば、次に筆を置く場所は絵がおしえてくれる。

    絵と向き合うことが大切なんだ。

    自分と向き合うことが大切なんだ。

    描き進めるほどに、絵の中の人と対話するということなんだと思うのだ。

    制作中に、絵の中の人をオーディエンスと対話させようとしてはならない。

    つまりは、やっぱり、自分自身と対話するということなんだ。

    ・・・その対話が終わる頃に、絵は完成して旅立って行く。