画面の中でスッとひかれた線は魅力的だ。
迷いなく、ドローイングのようにイメージが現れている。
けれども、そんな線を活かしつつ完成に向けてアゲていくのは難しい。
技術屋に徹することは、わけのわからないバイト以上に苦痛だ。
自分がやってることはバイトじゃないし、オーディエンスの眼を意識してやることでもない。
結局は、画面全部を憎むように塗りつぶしてしまった。
そうなんだ。技術や見え方、見せ方を考えてしまった画面はダメなんだ。
そんなふうに絵を作ってちゃ、自分がどんどん薄くなって消えてってしまうんだ。
技術や絵作りで良いものを描ける人に自分は成れないし、その才能がない。
そんなのは、才能ある人々に任せておけばいいじゃないか。
その手の才能が自分にないことを自覚して、初めて自分が努力するべき対象が見えてくるのだ。
思い切って構図を変える、どころか、キャンバスいっぱいに顔を描いてみる。
眼や鼻、口からではなく、顔の輪郭からでもなく、髪の毛を大きな筆で描く。
良いのか良くないのか、それはどうかわからない。
でも、画面いっぱいに描かれた顔は気持ち良い。
このまま完成にもっていけそうだ。
つうか、完成にもっていく!
窮屈なくらいのこの大きな顔が現れてくれて嬉しい。
無理やりに色を散りばめて、絵画的な画面を作るのはそろそろ止めかも、だな!
いろんな色を顔や髪に置いてく絵作りは卒業したい。
そんなのは、心から湧き出るのもが無い時の時間つぶしだ。
あれこれ考えず、思い切りよく、自分の中にあるものを画面に放つんだ!
それが自分の良さだったんじゃないか?
こんな初心者じみた想いで、どれだけ続けていけるのかは知らない。
けれども、俺はいつだって初心者で、画面に向かっていたいのだ。
しっかし、この下手糞な絵・・・・・笑える。