• 雪の色

    好きな色を聞かれれば、僕は「雪の白」と答える。
    でも、一口に雪の白と言っても、人によって想うことはマチマチだろうな。

    僕の好きな「雪の白」の感じは、その降りしきる無音な感じ。
    深夜の雪原の上、銀に輝く満月の色にも似ている。

    故郷はやさしかったなぁ・・というか、いつ訪れてもやさしい。

    そんな故郷に背を向けて、走り去るように夜汽車に乗った18の早春。
    決して都会に憧れていたわけでない。
    ただただ、やさしい故郷から旅立ちたかったのだ。