• 11月15日

    小林孝亘個展『私たちを夢見る夢』を観てきた。

    横須賀美術館は初めてだった。
    とても清潔な雰囲気の美術館で、小林の絵画の誠実さにマッチしている。
    絵画を鑑賞するというよりも、その絵画の描かれた年を確かめて、
    彼の歩んできた道のりと時間を、体感しようとしている自分がいた。

    むっちゃんの2010年の豊田市美術館での個展も頭を横切って、
    あの学生時代に同じ空気の中にいた僕らが、まだまだそこにいるようで感傷的になっちゃうな。

    小林の大学時代の4年間には、密接に関わっている気がするけれども、
    卒業以降の彼には、(もちろん幾つかの展覧会は観に行ったが)個人的には疎遠だった。

    彼の絵の流れは、実際の歳月の流れに沿うように、自然に感じられた。

    現代の美術がどうとかこうとか、そういうことではなく、
    ましてやオーディエンスを意識して表現する、ということでもなく、
    己の興味に真剣に対峙して、検証していく、形にする姿勢。

    あの頃、愛知県の片田舎で、京都や東京の学生アートシーンを夢のように思いながら、
    この世には既にいない近代の画家たちに想いを馳せていた、時代遅れの画学生の自分たち。

    こうして、小林やむっちゃんに、あいつやこいつ、あの頃の仲間たちを思う時、
    どんだけ感傷的になってしまっても、いいじゃないか?

    だって、俺たちはまだまだ、あの頃の延長に居て、絵を描き続けているんだからさ。
    そして、あの頃の古臭い頭の俺たちよりは、ずっと現代社会に生きているんだからさ。

    Ah, but I was so much older then, I'm younger than that now.