小林孝亘個展『私たちを夢見る夢』を観てきた。
横須賀美術館は初めてだった。
とても清潔な雰囲気の美術館で、小林の絵画の誠実さにマッチしている。
絵画を鑑賞するというよりも、その絵画の描かれた年を確かめて、
彼の歩んできた道のりと時間を、体感しようとしている自分がいた。
むっちゃんの2010年の豊田市美術館での個展も頭を横切って、
あの学生時代に同じ空気の中にいた僕らが、まだまだそこにいるようで感傷的になっちゃうな。
小林の大学時代の4年間には、密接に関わっている気がするけれども、
卒業以降の彼には、(もちろん幾つかの展覧会は観に行ったが)個人的には疎遠だった。
彼の絵の流れは、実際の歳月の流れに沿うように、自然に感じられた。
現代の美術がどうとかこうとか、そういうことではなく、
ましてやオーディエンスを意識して表現する、ということでもなく、
己の興味に真剣に対峙して、検証していく、形にする姿勢。
あの頃、愛知県の片田舎で、京都や東京の学生アートシーンを夢のように思いながら、
この世には既にいない近代の画家たちに想いを馳せていた、時代遅れの画学生の自分たち。
こうして、小林やむっちゃんに、あいつやこいつ、あの頃の仲間たちを思う時、
どんだけ感傷的になってしまっても、いいじゃないか?
だって、俺たちはまだまだ、あの頃の延長に居て、絵を描き続けているんだからさ。
そして、あの頃の古臭い頭の俺たちよりは、ずっと現代社会に生きているんだからさ。
Ah, but I was so much older then, I'm younger than that now.