• 7月12日

    今日も起きたら朝6時だった。時計台の鐘の音が聞こえる。
    教会の鐘と違い、オルゴールのように優しい音だ。
    部屋は屋根裏部屋で、木組みの柱が古くていい感じ。
    聞くと中世に立てられた家だそうで、なるほど納得。
    階段の手すりや、曲がり具合もいい感じ。

    ミヒャエルのミュンヘンの新ギャラリーの改造計画を朝食を食べつつ練る。
    11時には2人で駅に行って、ニュールンベルクに行かなきゃ。

    お昼過ぎ、ニュールンベルグ着。
    マンフレッド、エリザベスを交えて、ドイツ本の打ち合わせ兼お昼ご飯。
    昼食後、インスティテュートで図版用のスライドを選ぶ。
    約 250枚を選び、絶対に落とせない作品をさらに選び、それにこれから出来てくる新作も加える。
    ページ数は200ページを越える予定で、出版はドイツ3月、日本、アメリカが4月。
    スノードーム付きの限定本は 1000冊にすることになる。
    テキストはドイツ人シュテファン・トレジャー、アメリカ人・・・なんとかさん、日本人は共同戦士ばななさんとする。言語は、日独英のトリリンガル!
    ヨーロッパで編集される最初の画集になる。あ~緊張してきた!

    打ち合わせ後、フェリックス・G・テレスの作品があるノイエス・ミュゼウムのカフェでミヒャエルと一服。
    5時37分の汽車に飛び乗ってケルンへ戻る。

    車窓から雨上がりの空に大きな虹が見える。

    Over the rainbow 。
    虹の彼方へ汽車は進む。
    ケルンまで6時間。
    空っぽの部屋が想像できない。
    いつもの散らかった愛すべき部屋が目に浮かんでくる。

    でも確かに、全ては17個のダンボール箱に既に詰まっている。
    今のこんな気持ちのままじゃ、日本に帰ってもダメになっちゃうだろう。

    忙しく動き回ることではなく!人の非難を気にすることなく!
    全ての人から好かれようなんてスケベ根性を捨て去り!
    それでも自分の作品に共感してくれる人がいることを信じて、自分の気持ちを信じて、進めば良いじゃないか?!

    STAY TRUE TO ME !

    倫理は時として偽善を生むだろうさ。
    すでに何かに背いてしまった自分じゃないか。
    倫理ではなく、自らが由とする信条だけは確実に持ちつづけて、生きていこうじゃないか。
    自身の正当化ではなく、人として非難されようとも、自分の嫌な部分を忘れるのではなくはねのけながら、進んでいきたい。

    人はいつだって成長していけるもんなんだ。

    僕は理想化されたくなんかないし、実際普通に欲も持ち生きている。
    人が描く美しく誤解された自分ではなく、自分の理想を(まだはっきりとは描けないが)忘れ去ることなく、いつも繰り返し思い出し、生きたい。それを貫きたい。

    喜びも悲しみも噛み締めながら、望みどうりに生き、死んでいきたい。