夏の暑さは北国育ちの僕にとっては厳しくて、少しでも外に出ればへたってしまい、冷房がギンギンに効いてるところへ逃げ込みたくなるのだけど、毎日が熱帯夜の南国の人々にとっては暑いのは当たり前だ。時は5月、まだまだ暑さは序の口の香港だけど、道路工事の人々はみんな上半身裸で滝のような汗を流しながら働いている。けれども、僕にとっては30度を超えるとやっぱりきつく、直射日光を避けるように軒下ばかり歩き、買うものなんて何もないのにコンビニを素通りできず、店内に入っては読めない雑誌をぱらぱらめくったりしている。それでも3、4日もするとコンビニ休憩の数も少なくなり、なんとなくではあるけれど暑さに順応し始めているから人間の体って不思議だ。でもまぁ、それは香港に住む友だちと遊び始めたからだろう・・・
最初は車に乗っけてもらって移動してたのだけど、そのうち地下鉄、香港名物の2階建てバスやミニバスで移動するようになり、行くところもガイド本に載ってるようなとこではなく、超ローカルな場所ばかりになっていった。それは彼らにとってもある意味なにかなければ行かないような場所でもあり、つまりは『蛇料理の店』とかだったのだけど。
僕らはそこで蛇スープを注文し、それがけっこう美味い、というか鶏の中華スープのような味。でも具の量が多くて汁が少なかったのと、店内にたくさん飾られてる蛇入りの透明なガラス瓶や、はがされた大蛇の皮とかに囲まれて食べるので、冷静に味わえてはいなかったから本当に美味かったかは思い出せない。でも、暑い戸外を歩き回った後でフウフウ息を吹きかけながら食べる蛇スープは、やっぱりなにか必然的な食べ物に思えるから不思議だ。
香港在住のハワードがいろいろアテンドしてくれて、他にMollyっていうフィギアの作者ケニーと台湾からやって来たレスリー。レスリーは米芽米咕人(Mia and the Migou)っていうアニメ映画のアニメータで、ハワード以外は今回初めて会った。僕は別段アニメ好きでもフィギア好きでもないけど、なんかアニメ好きな中学生が集まってる気分。そうそうハワードとはもう6年くらいの付き合いになるのかなぁ。僕の作品からフィギアを作りたいっていってきて、結局3年くらい待ってもらって『Sleepless Night』ってのを作った。他のフィギアと差をつけたくて限定にして、全部手塗りで、わざわざ箱にも古色を付けたっけ。今度は木彫りのフィギアを制作する予定で、その打ち合わせも兼ねて僕はやって来た。試作品はまぁまぁだったから、それなりに面白いものができそうだ。
台湾人のレスリーと僕は、ほんとにこれでもかというほどに香港料理を食べさせられた。そして、そのどれもが美味しかった。それが蛇でもトカゲでも、蛙や鶏の足でも美味しかった。そしてデザート類もしかり。有名なマンゴプリン系の行列の出来る店はもちろん、下町の喫茶店で食べた卵クッキーも美味かった・・・
ケニーの奥さんの実家にもおじゃました。実家は小さな商店で、亡くなった人に捧げるお札の束や線香なんかを売っている。そこに隣接する香港的なアパート。ひとつのフロアーに数世帯住んでいる。雰囲気のある古い廊下に洗濯物が干されていたりする。こんなところにおじゃまできるのも香港朋友のおかげだ。
5月31日お昼過ぎ、空港に向かった。去りづらい・・・そして、書きたいことはもっとあるけど、今回はこれまで!